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“氷温” Farmers


有限会社浅野農場 ~北海道石狩郡当別町~

 北海道石狩郡当別町の会員企業、(有)浅野農場が、令和4年3月31日付で、北海道農政事務所より総合化事業計画の認定を受けました。
 (有)浅野農場は、繁殖用母豚150頭、肉豚出荷頭数3,600頭/年の規模で養豚事業を展開しているほか、農産物の生産も行っています。作付面積は、牧草11ha、アスパラ1ha、とうきび1ha、その他かぼちゃ・ジャガイモ等1.5haに及びます。  主力の豚肉製品は「スマイルポーク」として道内を中心に幅広い支持を得ており、「ここの豚肉しか買わない」という熱烈なファン層も存在します。
 その浅野農場が、次なる差別化商品の開発としてトライするのが「氷温熟成」で、その準備の一環として六次化に関する助成事業を申請しました。コロナ禍が重なったこともあり認定までのハードルは高く、足掛け3年におよぶ申請となりました。申請書の書き直し、加筆、修正をはじめ、氷温熟成や鮮度保持性の効果の実証データも数回にわたって求められ、労力と時間とコストも要するものでした。その成果として、このたび正式に認定を受けることとなりました。
 
申請事業を一手に引き受けてきた町屋総務部長 談 :「最初は正直ここまで申請と審査が大変な助成事業だとは思っていませんでしたので、たいへん長く苦しい時間でした(笑)。ようやく報われてホッとしています。これで氷温庫も整備できますし、直売所も拡張できます。氷温熟成を生かして、新たな加工品の開発にもチャレンジしていきます。 当別の大地で収穫された香り高い小麦を食べて育ったわたしたちの豚はとっても健康です。そんな豚肉がさらに氷温熟成されるのですから楽しみでもありますし、是非多くの人に喜んでいただけたらと思っております。」
 

渡地域農業活性化協議会 ~熊本県球磨村~

 令和2年7月に熊本県南部を中心に甚大な被害が出た熊本豪雨災害で、氾濫した球磨川によって球磨村は死者が出るほどの壊滅的な被害を受けた。渡地域農業活性化協議会では、設置していたアルインコ(株)製の熟っ庫6台が流されただけでなく事務所も水没し、当時はとても氷温事業を継続できるような状況にはなかった。
 しかし渡地域農業活性化協議会、球磨村役場、そして球磨村の生産者の方々の氷温事業に対する取り組み意欲は失われておらず、避難所生活が続く中、協会と継続的に連絡を取りながら事業化に向けて取り組みが進められている。
 まず初めに取り組んだのが、熊本県のPRマスコットキャラクター『くまモン』と氷温認定マークを組み合わせたデザインシールの作成だ。氷温認定を取得していた「カラー大根」と「梨」の2種類を作成し、熊本県ならではの方法でPRを可能とした。そして12月には、氷温協会の氷温庫で3ヵ月間貯蔵した梨と1ヵ月間貯蔵したカラー大根にそのシールを貼り、JR一勝地駅(熊本県球磨郡)や熊本県内の物産館で試験販売を行った。購入した方からは、「こんな時期に梨があるなんて」と驚きの声や、「カラー大根は正月に向けて紅白映えする」といった声が聞かれた。また、生鮮販売だけでなく加工食品の試作や熊本県内の飲食店への提案を進めている。
 球磨村の生産者の方々も氷温技術に期待を寄せており、新たな取り組みを進めている。球磨村で梨を栽培している3農家が集まってできた“さんがうら楽農会”では、氷温貯蔵梨のギフト商品化や規格外の梨を氷温貯蔵しておき、ジェラートの原料に活用する取り組みを始めている。定期的に自分たちが作り、氷温貯蔵した豊水梨や試作したジェラートの試食を行い、品質の評価や改良点を話し合いながら実用化に向けて取り組んでいる。
 また、熊本県畜産共進会種豚の部 名誉主席農林水産大臣賞を受賞したことのある「一勝地赤豚」は、令和3年7月1日に『氷温®熟成一勝地赤豚』として氷温食品に認定された。
 氷温技術が球磨村にいる様々な生産者の期待に沿えるよう、そして復興、地域の活性化のきっかけになるものと信じている。
  

丹波マロンファーム ~京都府京丹波市~

 山内吉継さんは16歳から栗作りを始め、丹波栗の最高をめざし、品種の更新や品質向上にこだわりと情熱を注いできた。その長年の功績が認められ、平成24年には「国土緑化推進機構 丹波栗の名手・名人」に認定され、平成26年には黄綬褒章も受章している。京都府からは「栗栽培技術の匠」として知事認定を受けており、80歳になる今でも毎月のように講義や現地指導の依頼があり、各地に出向いている。
 そんな山内さんが、京丹波の気候・風土に適した氷温熟成法の確立にも挑んでいる。山内さんによると、元々この地の土壌にはマンガンが多く含まれ、栗も独特の風味を生み出すという。“風味”は土地の気候風土と密接に関わっているため、真似できるものではない。
 「その風味+甘みが大事、僕はそう思う」と山内さんは語る。栽培技術で産地からの恵みである独特の風味を引き立たせ、氷温技術で甘みを付加することにより、栗がより一層、魅力的になると考えている。
 そんな山内さんが認定を取得した氷温熟成栗はスィーツの材料としても引き合いが多く、渋皮煮は絶品と評判で季節になると東京からもわざわざ買いに来る客が後を絶たない。「いちど食べた人はみんな欲しいと言ってくる」そうで、その声に応えるためにも、山内さんは品質向上への取り組みを止めるつもりはない。
 

合同会社うねい本舗 ~広島県沼隈町~

 福山市沼隈町の合同会社うねい本舗に、氷温庫が設置され、ブドウの氷温貯蔵が開始された。ブドウ園は采井等さん、和恵さんのご夫妻で営んでおり、化学肥料だけに頼らず、土と木々を元気にする素材を投入し、低農薬栽培をしている。シャインマスカットをはじめ、我が道、マイハートなどの新品種の栽培にも意欲的に取り組んでいる。
 夫妻は以前は別の事業を行っていたこともあり、自分たちの農業は、出荷や販売も旧来の形ではなく、消費者目線を大切にした直販を中心にするなど、「楽しい農業、もうかる農業」を追求していきたいという。
 氷温庫に関しても、自分たちで栽培したブドウを“自分たちの商品”として魅力的な先進性を備えたいという思いから設置に踏み切った。氷温技術を体得しながら、「つながりのある色々な人の考えを大事にして」、自分たちなりの農業づくりに邁進している。
  

小幸農園 ~岡山県岡山市~

 岡山市で果樹栽培や米栽培を営む小幸農園に、氷温庫が完成し、これから本格的に氷温貯蔵や氷温熟成が開始される。
 小幸農園が所有するブドウ園は36アールほどの大きさで、ハウスが4棟で露地栽培も行っている。品種は15種類ほどでブドウのほかにも6町ほどの水田で米も手掛けている。
 農園三代目の竹本昌利さんによると、ブドウづくりは二つのこだわりを大事にしている。「樹上完熟」と「乳酸菌栽培」だ。乳酸菌栽培は、土壌中の良質細菌を活性化させ有害微生物を減らすことによりブドウの樹を健康にすることができる。その効果で根の生長を促進し光合成も活発になり糖度とコクが向上する。そうして育てられたブドウを最高のおいしさで提供するために「樹上完熟」させており、甘みと酸味と香りのバランスが優れていると遠方からも注文が入る。このブドウにさらに、氷温貯蔵、氷温熟成の効果が、もうすぐ加わることになる。
 

井田農園 ~鳥取県南部町~

 鳥取県南部町の井田農園。生産者の顔の見える梨づくりをモットーに植物性の有機肥料と動物性の有機肥料をバランスよく施肥することによりおいしい梨を安心して食べていただけるよう常に心がけられています。梨の他にブルーベリー、蕎麦、野菜、柿などを栽培し、体験農園もされています。
 また、平成30年10月12日に発売された最新の「ミシュランガイド京都・大阪+鳥取2019」に、今年から対象エリアに加わった鳥取県から98軒の中に“そば処 井田農園”がミシュランプレートに選ばれ、掲載されています。

井田夫妻談:「初秋には収穫に入るこの梨を、長い期間、獲れたての美味しいままで届けたい。その想いからこの氷温庫を取り入れることを決意しました。氷温庫のお陰で収穫時期から4月までの間、年間を通して販売が可能となり、本来の旨味を最大限に生かした梨を皆さんに味わって頂けることはとても嬉しい。」
 


S&Kファーム ~鳥取県西伯郡~

 平成31年2月に入会された、S&Kファーム。S&Kファームのこだわりは、網掛け栽培と氷温貯蔵。網掛け栽培をすることで虫などの進入を防ぎ、農薬を極力使わないで済むようになるとのこと。
 また、無袋(むたい)栽培と合わせることで糖度が高く、蜜が入りやすいと言われている。
 令和元年7月に設置した氷温庫で、梨などを本格的に取り組まれていく。
 

農事組合法人八幡平養豚組合 ~秋田県鹿角市~

 八幡平養豚組合は、秋田県鹿角市の片隅で小さな養豚農場として50年前の1969年に発足したが、今では年間12万頭を出荷する国内トップクラスの規模に発展した。新たな農事組合法人も次々と設立させ、「八幡平ポーク」グループとして農場を増やしてきた。
 今年竣工したばかりの最新式の農場では豚の飼育もここまできたかというほどの管理がなされており、ストレスフリーな環境が整えられている。
 業界最新事例として注目を集める八幡平ポークグループはさらに氷温熟成にも取り組み、いっそうの品質向上に努めている。直売所内に設置された15坪の氷温庫内には豚のブロック肉が熟成され、氷温認定を取得した豚肉は「八幡平ポーク 時のゆめ」という最上級ブランドシリーズとして販売されている。

阿部組合長談:『豚肉は新鮮なものほどおいしいと思っていたけれど、ある時試しに氷温管理したものを送ってもらったら、おいしくて驚きました。それがキッカケで氷温の取り組みを真剣に考えました。』
 

有限会社福井製茶 ~鳥取県米子市~

 「お茶の樹オーナー会」を結成し、全国各地の方々にお茶の樹1本から栽培できる体験をしてもらい、茶を地域特産品として認知してもらうとともに、水田転作を行いハマ茶、そば茶、氷温熟成茶などの商品開発を行っていることが認められ、地域農業の振興や活性化に付与した農業者に贈られる21年度の「全国優良担い手表彰」の優良認定農業者個人・土地利用型部門で全国担い手育成総合支援協議会長賞をされた中坂宗司社長。
 氷温茶の認定を取得したのは平成10年。現在は5ヘクタールの茶畑を栽培している。自分達で茶葉の生産から加工まで全てをまかなうことで安心して飲んでいただけるお茶づくりに取り組んでいる。

中坂社長談:『今はお茶屋というより農業一筋です。私は茶畑に行くことが仕事で加工や営業は息子に任せています。よくお茶は新茶がうまいと言われていますが、個人的には氷温貯蔵で2年、3年と熟成していったほうが煎茶がやわらかく、まろやかになり、とろっとした玉露のような味わいになるお茶がうまいと思っています。ワインでよく聞く何年もののように、お茶の世界でも“氷温熟成茶何年もの”というものを将来的に売り出していきたいです』
 

高梁市 ~岡山県高梁市~

 高梁市川上町農業振興センターには、21坪(7坪×3室)の氷温庫がある。三洋電機(株)製の高精度な氷温庫でADAP-KOOLシステムを付加しデジタル管理している。この氷温庫は「平成20年度中山間地域魅力づくり支援事業」の助成事業の1つで農業振興センターが青果物(ぶどう)の貯蔵用にオリジナルで発注したもの。秋に収穫される桃太郎ぶどう、シャインマスカット、オーロラブラックなどの高級ぶどうがこの氷温庫で貯蔵され氷温商品として全国各地に販売されている。

潮さん談:『私たちは桃太郎ぶどう、シャインマスカット、オーロラブラックを高梁市が運営している観光農園「世界のぶどう園」で栽培しています。ここで収穫されたブドウが氷温庫で貯蔵され全国へ販売されていきます。また、氷温庫を設置した建物は元々培養室だったので氷温庫の前が予冷庫の役割を果たし画期的な仕組みになっているので、とても使い勝手がよくなっています。』
 

有限会社田中農場 ~鳥取県八頭郡~

 (有)田中農場のこだわりは、自然の生態系(土壌微生物などの働き)を生かし、農薬や化学肥料の使用を極力ひかえ、堆きゅう肥などの有機質肥料を使い、また、水も与えすぎないよう成長過程を見守るなど、根や株ががっちりと安定し、多少の試練にも負けない「強い稲」を育てるといった、生命力のある土。現在は、94.5haの敷地にコシヒカリ、酒米、もち米、大豆、黒大豆、小豆、白ネギ、白菜、カブ、小麦、飼料用コーン、稲などを栽培している。このこだわりの作物の一つである餅米を使用して搗きあげた餅の保存、熟成に氷温技術を導入することによって、餅の美味しさの長期間保存とともに、赤カビ、青カビの発生が抑制されるといった効果があったという。
 

株式会社センコースクールファーム鳥取 ~鳥取県東伯郡~

 鳥取県の中部に位置する湯梨浜町に平成22年に設立された(株)センコースクールファーム鳥取が氷温技術を活用した新たな取り組みに意欲を示している。
 (株)センコースクールファーム鳥取は、障碍者、高齢者の雇用促進を目的として設立された会社で、廃校となった小学校の校舎を利用した敷地内では、障碍者13名、高齢者1名(総従業員は28名)が、1年を通して働いており、小松菜、パクチー等の葉物野菜の他にマイタケ、シイタケを栽培するとともに、近隣の使われていない梨園を借りて二十世紀ナシを生産している。また、夏休みになると近隣小学校の児童を迎え、農業体験を行うなど地元との交流を積極的に行っている。また、植物工場事業への取り組みも進めており、建物内に作られた植物工場(人工光型)ではフリルレタスなど10品種を、無農薬、低細菌、さらには成分をコントロールして(低硝酸、高カルシウム等)生産し(1,800袋/日の生産が可能)、関西や鳥取県内のスーパー、ホテル、外食店に納品している。大西毅昌社長は、「氷温技術による付加価値化・差別化だけでなく、毎日計画生産される作物をロスなく安定出荷することができるのでは」と考えており実証試験を行っていきたいとしている。
 

株式会社土のめぐみ ~熊本県上益城郡~

 無農薬、今でいうオーガニック野菜を、山都町から全国に向けて、ネット販売や個別宅配といった形で販売する会社をしている(株)土のめぐみ。東京でもいろいろな産品を販売していたが、その時に氷温技術には大きな利点、アドバンテージが3つあったとのこと。一つは氷温貯蔵庫があると、旬の一番美味しいところで収穫しても鮮度を落とさずに出荷調整ができるのでアドバンテージがすごくある。もう一つは、ネットショップというのは、お客様が好きな時に好きなようにお買い求めになるからありがたいが、その時のタイミングでなかなか出荷できなかったりするけれど、それが可能だった。あと一つ、結果としてビックリしたのが熟成。ご注文いただくまで寝かしていると味がプラスに変わったとのこと。
 

土田さん談:「生産者あるいはその産地、農家さんに携わる者としては徹底的にいい物を徹底的に特別化できるような形のツールだと思いました。これからは氷温技術を含めてプロモーションとかアプローチのお手伝いが出来たらなとは思っております。」
 

津軽みらい農業協同組合 ~青森県南津軽郡~

 JA津軽みらいには、にんにく貯蔵用の氷温庫が2基設置さえており180トンが収容できる。にんにくは6月末から収穫が始まり、乾燥2週間を経て氷温庫へ入庫される。品種は福地ホワイト六片が中心でほぼ丸々1年間貯蔵されるが氷温貯蔵の効果でほとんど芽が動かない。
 常盤青果センターの長内穣統括によると、産地ブランドの「ときわにんにく」は選考基準が厳しいので元々高品質で高級なにんにくとされているが、氷温貯蔵をするようになってから「他の産地より味が良い」と高評価を受けるようになっている。他産地はガス(CA)貯蔵が多いそうであるが、CAだと本来の風味が低下してしまい色感と匂いに違和感が生じてしまうことがあるというが、氷温ではそれがない。「味に関しては氷温の効果が出ていると思う」と長内さんは考えている。
 今後の展開としては「生にんにく」の氷温管理に挑戦してみたいという。長内さんは「実は乾燥してない生にんにくは非常に美味しいのですが、鮮度落ちが速いのでほとんど産地だけでしか食べることができません。だけど氷温なら多くの人に生にんにくを食べてもらうことができるかもしれない」と考え、近い将来の商品化に意欲を示している。
 
 

つがるにしきた農業協同組合 ~青森県つがる市~

 JAつがるにしきたの柏支店のすぐ隣には樹齢140年になる日本最古のりんごの樹が保存されており、青森りんごの象徴的な場所になっている。平成26年の強い農業対策資金で、県内JAでは初めてここに495m×2基のりんご氷温貯蔵庫(大青工業製)が設置された。
 サンフジ、王林、しなのゴールドなどを「氷温蔵出しりんご」として3月、4月まで販売する取組みを開始しているが、野菜・果物課の工藤仁広さんによると「貯蔵していてもりんご本来の風味が失われないのが氷温のいい所。まだまだ知名度は低いのでこれから広めていきたい。みずみずしいという声はいただいています」と言う。
 りんご以外では、長イモやブロッコリーの氷温管理も行っており、効果を実感しているという。
 今後は、果物・野菜だけではなく県内産のお米などでも氷温管理や氷温熟成を試してみたいとしている。
 

観世音そば下の家 ~栃木県日光市~

 日光市で完全自家製の手打ちそば店を経営している半田耕一さん。そばの栽培も自分で行ない、収穫したそばを自分で手打ちし、お店で提供している。冷たいそばも温かいそばも両方人気で昼時の店内は来店客で賑わっている。
 2020年の東京オリンピック・パラリンピックで農産物を提供できる基準『とちぎGAP』をクリアした生産者確認として日光市にソバ生産する半田耕一さんに確認証が贈られた。
 選手村の食堂で提供される食材については、国際基準の安全性が求められており『とちぎGAP』では農薬の使い方や保管方法など76項目にも及ぶ基準をクリアすることが必要となっている。
 半田さんは、のべ36ヘクタールの畑で1年に3回ソバを収穫している。

半田さん談:「とても厳しい制約があり、基準を満たすのには苦労しましたが、ようやくGAPを取得できました。取得できたのであれば、せっかくなら東京五輪で世界中の人たちに私の生産したお蕎麦を食べてもらいたいと思います。できれば氷温熟成して、安全でおいしいお蕎麦を楽しんでいただけたら嬉しいですよね」
 

有限会社アリストぬまくま ~広島県福山市~

 「道の駅」は、安全で快適に道路を利用するための道路交通環境の提供、地域のにぎわい創出を目的とした施設であるが、「有限会社アリストぬまくま」は、近海でとれた鮮魚を漁師が早朝のうちに納めていることから、地元住民だけでなく遠方からも多くの人が魚を買い求めに来るため、活気のある道の駅の1つである。
 また、地元産品を売る店としての役割を持ち、特産品であるピオーネは8月末から翌年の1月末まで氷温保存しており、冬でも食べられる芳潤な果実を求めて来店するファンもいるとのこと。
氷温保存したピオーネは百貨店の冬ギフト品として年末にも出庫されており、長期間の保存を可能にする氷温技術はこの道の駅では必要不可欠なものとなっている。
 その一方、ブドウを栽培する農家の高齢化は深刻らしく店を切り盛りする西迫支配人の話では、老いるのは人間だけでなく果樹も同じでピオーネの収穫量は年々減少しているとのこと。そのため、これまで氷温保存するのはピオーネの一品種のみであったが、これからはブドウ提供の安定化を目指してシャインマスカットも加えた氷温保存に少しずつ取り組むことも計画している。
 

もりもとや ~和歌山県伊都郡~

 森本さんの住む和歌山県かつらぎ町は、400年前から柿が栽培されている歴史のある産地で、千尋の谷から吹き上げる強い寒風が特長で、日本でも最も有名な干し柿名所でもある。森本さんのあんぽ柿は、この標高600mの厳しい自然の中で独自の製法で作られている。最低春まで寝かせ、自分で満足のいく出来栄えになるまで出荷しないというこだわりを持っている。平種無し柿をマイナス温度でじっくりと3ヶ月以上かけて仕上げることで色も甘みも食感も深い味わいになるという。

森本さん談:「他にこんな方法で作っている人はいないでしょう。土地の条件は悪いですが、悪い条件を良い条件として活かしていくんです。いいものを作ります」
 

舘町野菜生産組合 ~青森県五戸町~

 青森県五戸町のにんにく生産者で結成した舘町野菜生産組合。25坪の大青工業製高性能氷温庫を用いて、特産の高級大粒にんにく(福地ホワイト六片種)を周年で出荷している。氷温で熟成することにより糖が増加しており、差別化された商品となっている。「環境保全型農業を目指し、減農薬減化学肥料で、丹精込めて栽培しています。この安心な氷温熟成にんにくを大都市などにどんどん販売していきたい」とメンバーの意気も盛ん。
 

農事組合法人蓮だより ~石川県金沢市~

 加賀れんこんの産地である石川県金沢市才田地区でれんこんの栽培をしている農事組合法人蓮だより。8坪の氷温庫を設置し、氷温貯蔵で通年販売を目指している。

川端さん談:「氷温技術を知っていましたが、なかなか取り組むことができませんでした。今回補助事業をきっかけにレンコン用氷温庫(前室2坪、氷温室4坪)、ニンニク用氷温庫2坪を設置することができました。加賀れんこんの長期貯蔵はもちろんですが、モチモチとした粘りのある食感という特長を最大に引き出せるような熟成にも挑戦し差別化を図っていきたいと思います。また今後はニンニクの氷温貯蔵も行っていきたいと思っています。そのためにも栽培技術も向上させ氷温技術を活かせるように土台をしっかりしていきたいと思っています。」
  

西川ライス ~岐阜県羽島市~

 岐阜県羽島市の米生産農家の西川光弘さん、ひとみさん夫妻が取り組む水田面積は5~6反だったのが今では50町を超える面積を手掛けている。
 生産しているのは主に岐阜県の奨励品種のハツシモで、収穫量の少なさから「幻の米」とも言われている最上級ブランド米だ。そのハツシモをさらに氷温熟成して一般売りではなく個人の上得意顧客に少量販売している。「これしかない。他のお米じゃだめ」と言って来る昔からの常連客も多いそうで、有機栽培では10kg 6300円という高価格になるがそれでも購入していくという。
 

谷澤牧場・ゆたか牛 ~愛知県豊田市~

 6次化事業に取り組んでいる愛知県豊田市の谷澤牧場。簡易型の氷温熟成庫を牧場内(130頭規模)に設置、肥育から販売まで一貫した管理をするため専用輸送車も整えており、まさに6次化を実現している。
 『ゆたか牛』というのは谷澤さんが命名した豊田市初の地域ブランド牛で、豊田市の「豊」と風味の「豊かさ」をかけて名づけられた。全て黒毛和牛の経産牛を用いており、飼料を限定しさらに氷温熟成することにより未来のうま味を引き出している。経産牛の市場価格は低いとされてきたが、この『ゆたか牛』の取り組みにより、実は経産牛であってもやりようによっては仔牛と変わらないぐらいの品質にできるという評価も出始めている。
 

吉備高原の農園 幸屋 ~岡山県加賀郡~

 岡山県吉備高原町の吉備高原の農園 幸屋。平成29年の夏に氷温庫が設置され、同じ年の11月に『氷温ぶどう(シャインマスカット、ニューピオーネ)』を認定されました。

植杉さん談:「収穫時の鮮度を長期保存するため、品質の良いブドウだけを選出し、氷温庫で貯蔵することにより、クリスマス、お歳暮、お正月と旬の味を冬にもう一度楽しんでいただけるようになりました。」
 

黒川農園 ~岡山県高梁市~

 岡山県高梁市の黒川農園。平成29年の夏に氷温庫が設置され、同じ年の11月に『氷温ぶどう(シャインマスカット、瀬戸ジャイアンツ)』を認定されました。
 収穫してからは日持ちしないぶどうが、氷温庫導入によって収穫時期の鮮度が保持され、販売期間の延長が可能になったとのこと。
 

愛媛の水都 西条のいちごやさん ~愛媛県伊予西条市~

名水いちごが育まれる愛媛県の伊予西条市。ここには名水百選に2年連続で全国1位に輝いた「うちぬき」と呼ばれる良質な水源があり、レッドパールはここの名水が命の源となっています。
 築山氏は流通段階での軟化の問題、完熟イチゴを届けるための収穫時期の問題を解決するために氷温貯蔵に取り組み始めました。氷温貯蔵をすることで完熟状態で収穫したイチゴの鮮度保持が可能となりさらには糖度が増し、おいしく安全な完熟レッドパールを遠隔地のお客さまへもお届けすることができ、注文が増えたそうです。
 

はやし農場 ~岐阜県中津川市~

 岐阜県中津川市の山間にあるはやし農場。栗畑の栽培面積はおよそ2町歩。500本の栗を栽培しており若木への植え替え作業も行っている。早生から晩生まで、20種類以上の品種を育てている。
 氷温技術のことは「現代農業」を読んでからずっと気になっていた。本格的に取り組むことになったら絶対やろうと心に決め、2010年10月に3坪の氷温庫を設置した。

林さん談:「焼き栗は、生栗がかなり甘くないと美味しく仕上がりません。収穫した栗をそのまま焼き栗にしただけではなかなか評価されませんが、氷温貯蔵10日目くらいからものすごく甘くなりまして、糖度も大幅にアップしました。焼き栗にして色々な人に食べてもらいましたが、こんなに美味しいものは初めてだと言ってもらいました。この焼き栗の甘さは氷温技術のおかげです。これでやっと勝負ができます。キロ500円の栗をキロ2,000円で売れるようにしたいです。」
 






 
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